【このリサーチは「手紙って一体何だろう?」を考えるリサーチです】
【インタビュー/手紙について】
【⑤】池本喜巳さん 【日時】3月17日 10:00~ 【場所】池本喜巳小さな美術館

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池本さんは「手紙は遊びで書いてるから。名前と一緒。自分を喜ばせてるの。でも、人も喜んでくれるから」。巻物のような手紙を書く。絵や写真が挿入されている。書いた手紙はコピーを取って手元に置く場合もある。箱の中からは、そんなコピーや、いったん書いてみて「違うな」と書き直した際の書き損じなどが箱からハラハラと出てくる。あるとき知り合ったとても美しいおばあちゃんが自分の手紙を床の間に置いて何度も読み返しているのを知り、とても嬉しくなった。「今104歳くらいの人でね。初めて会ったとき、人ってこんなに美しく年を重ねることができるんだって、びっくりしたんだよ」。
お邪魔したこの日は、萌え初めの春の山を描いた長い紙があり、それがその女性に送る次の手紙になる。

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もらう手紙では「陶芸家の友達からくる手紙が、何とも言えん、いい。詩みたいな朴訥なのがくる」と、読み上げてくれた。心のままを言葉にしたような手紙だった。

一日に2~3通、手紙を書く。年間100通程度書く。送られた人と池本さんとで、計200回ほど喜ぶ。

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池本さんは写真家。古くからある商店の様子を、その店の主と一緒に撮ったものや、風景の中にたたずむ人々を撮ったもの、どの写真も、見えたものは全てつまびらかに撮られている/採られているように見えた。池本さんが住む山陰の風景と人々、中にはもう”消えてしまった”人や場所もある。