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昨日に引き続き、山下さんはマレーシアでの記憶に触れながら、9月のオープンスタジオの準備のための作業に取りかかりました。

実は遡ること2年前にも山下さんはマレーシアでリサーチをされていて、そのときに撮った、ファミー・ファジールの演説映像には、路上の誰も聞いていないところで演説を行っている様子が収められていました。山下さんは、その現場では寂しさを覚えたことを思い出しつつ、今となっては人気のあるファミーの過去の動画は貴重だな、と感じたとおっしゃっていました。

また、今回(2018年5月)の選挙期間中に行った演説動画とその内容の日本語訳テキストを照らし合わせ、意味を噛み砕いたり理解を深めたりする作業を行っていました。現地で密着取材していたときから何か月か経った後に改めて見返してわかることもあったとのこと。
山下さんは、制作の手がかりとして、様々な記憶の中からまずはマレーシアの選挙の表層的な音や視覚の部分(ラッパの音・発煙筒・電飾・暴走族の走る音・旗・金色のマイク)を拾ってみることから始めています。
選挙期間中は、町の中にたくさんある屋台の中に演説テントが出現したり、コメディアンの立候補者やお堅い候補者などいろんな人がいたりと、非日常的な時空間が街中に展開しているそうです。シリアスな中にも冗談めかしたようなものが入り混じった独特な雰囲気だった、と振り返りながらお話されていました。私はそれを聞き、選挙は生活と同じ線の上にあり、日常と織り交ざっているように感じました。

なお、今回の選挙で野党連合はマニフェストとして選挙後100日以内に様々な政治的変革を行うことを掲げており、今日8/17がちょうどその100日目にあたります。
それに際して、山下さんはシンガポール在住のマレーシア人アーティストの呼びかけによる100 Days Festivalと言われるSNS上のプロジェクトに、新しいマレーシアに対するビジョンや希望を表す作品を匿名投稿しました。(門脇 瑞葉)