こんにちは、小田部です。今日の鳥取は澄み渡る青空。梅雨ということもありこれまで雨が多かったのですが、太陽の光が眩しい気持ちの良い天気でした。

今朝は、ホスピテイル での作業の前に、大坪晶さんによる写真作品、《Shadow in the House》のエキシビション/パフォーマンスを観に、鳥取駅前から15分程バスに乗った場所にある樗谿(おうちだに)グランドアパートに向かいました。大坪さんは、第二次世界大戦後のGHQによる占領期に日本で高級将校の住居として使用するため強制的に接収された個人邸宅「接収住宅」を対象に、リサーチと撮影を続けられています。今回は、2018年8月に樗谿グランドアパートで制作された写真や映像作品の投影や、米国国立公文書館でリサーチした資料、インタビュー音声などが建物のあちこちに配置されたインスタレーションとなっていました。

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この写真は、樗谿グランドアパートのダンスホールに描かれた絵、またその絵とダンサーの身体の動きを長時間露光撮影を用いて影のように浮かび上がらせた作品です。樗谿グランドアパートは、当初医院として計画されていましたが、途中から住宅に変更され1930年(昭和5年)に竣工、その後進駐軍の宿舎にもなった歴史的建造物。所有者や時代の変化に伴い増改築された建物に入ると、茶室やダンスホール、外部から持ち込まれ大きすぎるためカットされた螺旋階段、200V電圧のためのコードなど、どこかちぐはぐで和洋折衷な空間が広がります。その空間に様々な形で展示された作品は、現代と重層的な歴史をつなげているように感じました。また、樗谿グランドアパートでの撮影にも参加したダンサーの川瀬亜衣さんと古川友紀さんによるパフォーマンスでは、リサーチで見つかった占領期の歌や子供達が進駐軍に対して感じていたことに関するテキスト、また建物の記憶やそこに生きていた人たちの影を呼び覚ますような表現が文字通り身体と建物全体を用いて行われました。私は初めて樗谿グランドアパートを訪れたのですが、そこに眠る重層的な歴史、記憶、影を今回の展示を通して見ることができたような気がする、そんなエキシビション/パフォーマンスでした。

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午後は滞在していることめやでピル&ガリア・コレクティブの「(In)visible Propaganda /(不)可視のプロパガンダ」のチラシの配送作業を行いました。政治ビラを彷彿とさせるB5サイズに薄い紙のチラシのデザインは、福岡のカラマリ・インクの尾仲俊介さん。数枚ずつ封筒に分け、郵送先・返送先シールを貼っていきます。今日は天気が良かったため、郵便局に行くついでに袋川沿いを散歩して帰ってきました。ことめやから袋川に向かってまっすぐ歩くと現れる赤い花見橋は私のお気に入りの場所です。この橋の脇に立つ柳の木が風にそよぐのを見ていると、とても心が落ち着きます。私が普段生活している東京や神奈川ではなかなか巡り会えない瞬間です。

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また、旧横田医院では着々と展覧会の準備が進められています。部屋の奥に見えるのはパフォーマンスで使用されるオブジェで、初日は木枠だけだったのですがガリアさんが制作していたペプシのロゴなどが装着されていました。また、キュレーターの中西さんとも演出や照明に関する相談が行われていました。どうやらこの部屋のライトはネオンになる模様です。毎日変化を続ける制作現場から目が離せませんね。明日はどのような変化を見ることができるのでしょう。とても楽しみです。

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(小田部)