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知るのつくりかた

mamoru(サウンドアーティスト、School in Progress 共同ディレクター) / 家中茂(鳥取大学地域学部教授 専攻:村落社会学・環境社会学) / 松川絵里(哲学者、カフェフィロ副代表)

Making Ways of Knowing ― ,Shigeru Yanaka,Eri Matsukawa

日時

  • 2017.05.13(土) 〜 2017.05.13(土) 13:00-16:30

会場

旧横田医院(鳥取市栄町403)

料金

500円(お茶お菓子代)

このたび、ホスピテイル・プロジェクトは、オルタナティヴな知の方法について考えるためのパブリック・トーク「知るのつくりかた」を開催します。
本プロジェクトでは、一昨年山本高之とmamoruの2名のアーティストをディレクターに迎え、フィールドワークやワークショップといった実践を通して、体験し、思考を深めることで新たな知を獲得するアートの学校「スクール・イン・プログレス2015」を企画開催しました。「生きることliving」と「作ることmaking」をテーマに、身近な事柄についてのグループリサーチに主眼を置いたこのプログラムでは、参加者がアーティストの導きと助言により、未知なる事柄に自らを開き、ディスカッションによる共有を重ねながら、洞察力・直感力・想像力といった創造性を高めることを試みました。その成果は、それぞれが生活に持ち帰り、日々の実践に生かされ続けています。今回のプログラムは、その続編にあたります。
昨今のアーティストの作品制作において、リサーチは重要な役割を果たしています。特定の興味から出発し、様々な方法論を活用しながら独自の視点でそこここに蓄積されている知識や情報、歴史といった資源を発掘・収集・編纂していく作業は、作品制作のプロセスであると同時に、アカデミックなジャンルの枠を越えてなされるオルタナティヴな知の生産とも言えます。未だ可視化されない事象に光を当て認識やかたちへと導くこと、細分化し分断された各分野における知識や技術をつなぎ、新しい価値を立ち上げること。アーティストが培っているこうしたしなやかな態度と知の技法は、アートはもとより、行き詰まりを見せる現代の文明の突破口となる可能性を秘めています。
今回のプログラムでは、このようなリサーチの方法から示唆を得つつ、アート、社会学、臨床哲学といった、異なる分野で新しい知の生産の現場に携わる方々をゲストに迎え、それぞれの「知るのつくりかた」−取り組んでいる課題と知を構築するための実践についてお話いただきます。また後半では、協働から価値を創造していく実験的な試みとして、参加者を交えたオープンマイク形式のトークセッションを実施します。前半で提案された知の方法を土台として、これからの教育と人材育成のあり方、その可能性について考えてみたいと思います。

アーティストプロフィール

mamoru(サウンドアーティスト、School in Progress 共同ディレクター)
1977年大阪生まれ。2016年ハーグ王立芸術アカデミー/王立音楽院(オランダ)アーティスティック・リサーチ修士。様々なリサーチ手法と想像力によって過去、現在、未来/架空の音風景を書き起こし、「あり得た(る)歴史」などを題材にした作品を制作。また身近な物や行為から生まれる微かな音をとりあげた「日常のための練習曲」など、「聴くこと」から世界を知る方法を探求。レクチャー・パフォーマンス、映像、テキスト、サウンド作品を国内外の美術館・ギャラリーで発表。2014年より「旅するリサーチ・ラボラトリー」(共同企画監修、下道基行)、鳥取での「スクール・イン・プログレス」(共同企画監修、山本高之)などのプロジェクトのディレクションも行う。
家中茂(鳥取大学地域学部教授 専攻:村落社会学・環境社会学) Shigeru Yanaka
1954年、東京都墨田区生まれ。2000年関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。1980年より、砂田明一人芝居『海よ母よ子どもらよ/現代夢幻能「天の魚」』の舞台監督として全国勧進公演に同行。1983年石垣島白保の海や人に魅せられ、サンゴ礁の保護運動に参加。1987-1989年石垣島で家族と暮らす。1995年、沖縄の有機農産物流通を担う「真南風」設立に参画。沖縄大学地域研究所を経て、2005年より現職。「生活の立場」から人と自然のかかわり、コモンズについて考察。フィールド及びテーマは、沖縄のサンゴ礁の保全利用や里海づくり、自伐型林業による森林資源に依拠した生業創出と生活の統合、景観形成や生業技術・伝統的芸能のかかわりなど。 主な著作に、『地域の自立 シマの力』(コモンズ)、『景観形成と地域コミュニティ』(農山漁村文化協会)、『地域学入門』(ミネルヴァ書房)、『林業新時代─「自伐」がひらく農林家の未来』(農山漁村文化協会)など。
松川絵里(哲学者、カフェフィロ副代表) Eri Matsukawa
1979年大阪生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。学生時代より哲学カフェの活動をはじめ、2005年大阪大学臨床哲学研究室のメンバーを中心に、哲学対話を実践・サポートする団体「カフェフィロ」を設立。2014年4月から2016年3月まで代表を務める。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任研究員(2010年8月〜2016年3月)を経て、現在は岡山を中心に、カフェ、地域のコミュニティスペース、介護施設、障害者支援施設、病院などで哲学カフェや対話セミナーのファシリテーターを務める。 主著に『哲学カフェのつくりかた』(大阪大学出版会)、共訳書に『中学生からの対話する哲学教室』(玉川大学出版部)がある

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