5回目となるパブリックプログラムでは日本共産党鳥取県常任委員の福住英行さんをゲストに、マレーシアと日本それぞれの社会状況や政治などについて意見交換が行われました。

トークではまず福住さんのプロフィール紹介がありました。また、山下さんの作品は今の日本の状況を考えるような流れの作品なのではないかと招致の理由も紹介されました。
そのあと、山下さんが台本を作るのではなく、話のアウトラインのみを決めてマレーシアの選挙について説明をされました。
山下さんの話の中で、共産主義が禁止され必死に主義を貫くために戦っているマレーシアの共産主義者と、ピリピリしていない雰囲気の日本の共産主義者たちとの違いにファミー氏がびっくりしていたという話を聞いた時、日本とマレーシアの政治に対する意識の違いが現れたエピソードのように感じました。

山下さんは「文化・芸術は少し間違えればあっという間に(プロパガンダに)利用されてしまう」と以前は考えていたが、現在はファミー氏との出会いの影響もあり政治的な事柄をアートに取り入れても良いのではないだろうか、と考えているそうです。

世界中でマルクス主義を再評価する流れがあるものの、日本でも共産主義と聞くと少し偏見を含んだ目線を向けてしまう風潮があるように思います。実際、日本で共産党ができた際には非合法であったり、福住さん自身家族から共産党員として活動することへの反対のあった中で、福住さんは「自ら声を上げなければ!」と考え活動を始め、現在も日本を変えるために活動を続けていると仰られていました。

今回のトークでは、山下さんがマレーシアの選挙のリサーチから演説が重要なのではないかと考えた為、ファミー氏の演説を日本語訳したものを山下さんが演説的な口調で読み上げていました。その中で、日本の演説では自分の名前を何度も繰り返し言い、一票を求めるような演説が多い中、庶民の生活をファミー氏自身の目で見て、彼の言葉で力強く変化への意志が語られており、日本の選挙戦との違いを感じました。

また、福住さんが演説をどうやって作っているのかや、日本の共産党員がどんな活動をしているのか、組織構成、諸外国の共産党とはどんな付き合い方をしているのかなどのお話を福住さんからお教えいただけました。
未知を既知にすることができたように感じました。(門脇瑞葉)